瀬尾の鶏そぼろ丼/麻布十番

日本のおっさんが大好きな〝焼き鳥〟。高架下の縄のれんを潜るとモクモク立ち上る煙幕。気の合った仲間とひざ突合せ、串は左、猪口は右。
そんな喧騒の中の焼き鳥をしょっちゅうパクついてます。が、麻布十番に大衆〝焼き鳥屋〟のイメージからほど遠い高級感たっぷりの素敵な〝焼き鳥レストラン〟があります。そして、この焼き鳥屋さん、とても人気が高く予約の困難な店です。大変、お世話になった仕入先会社のS社長さんが数か月前に予約。送別会をしてくださいました。
麻布十番の洒落た街。ビルの地階にある〝鳥善 瀬尾〟 。オーナーシェフの瀬尾博之さんは、1968年東京生まれの46歳。20歳代の時に食べた東京・勝どき〝鳥善〟の焼き鳥に感動して弟子入り。10年修業をして独立しました。現在は、麻布十番と、リニューアルした東京ステーションホテルに〝焼鳥 瀬尾〟の2店を経営しています。
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ゆったりとしたカウンター。すぐ斜め前の〝焼き場〟には、瀬尾さんが精悍な感じですくっと立っています。お弟子さんたちが親方のサポートですぐ横に控えています。控えめな店主も弟子たちも黙々と仕事を続けます。静かな店内にジャズのBGMが流れます。
やっぱこれでしょ。ファーストドリンクは、生ビール。
高級店も大衆店も・・・。
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突き出しの〝漬け物〟。
実にシンプルな〝糠漬け〟。
瀬尾が、焼き鳥で真剣勝負をしている予感。
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 緊張の中で出てきた〝鶏わさ〟。
普段も食べ慣れている鶏わさですが、いつもとどこか違う美味しさ。
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 出汁ジュレの掛った野菜サラダが置かれました。
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緊張で喉が渇いたせいもあり、あっという間にビールを飲み干し、次にウイスキー・ハイボール。
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 いよいよ一本目の焼き鳥が登場。
〝せせり〟です。ネック。鶏の首の剥き身。
ニワトリって首をくるくる動かすでしょ。ネックは、筋肉の発達した部分で、しかも一羽から採れるのはほんの少し。稀少部位です。塩で頂きました。
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好物の〝もも肉〟。しかも美味しいタレで・・・。
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〝つくね〟です。
ワタシ、焼き鳥のつくねが殊の外大好き。
瀬尾のつくね絶品です。軟骨が入って食感も楽しい。
大根おろしとウズラの卵に浸けて食べると一層美味しい。
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見てすぐ分かるように〝ペコロス(小タマネギ)焼き〟
焼き野菜は、とても美味しいです。特に、当店が使っているのは、〝ウバメガシ(姥目樫)の紀伊備長炭〟。備長炭の中でも希少な最高級品です。普通の樫の備長炭に比べてもギュッと圧縮された比重の高い炭。火力も非常に強く、ジューシーな美味しさを一瞬に封じ込めます。
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焼酎の水割りを頂きました。残念ながら雲海そば焼酎ではなかったな。
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美味しい〝血肝〟。鶏のレバーです。
焼き鳥の神髄は、血肝の旨さ。新鮮な血肝を手早く処理できるかによって旨さは決定的に違います。惜しいことに、お招きくださったS社長。ホルモンが全くダメで・・・。ホルモン好きのワタシの為にムリしてくださり、ホントに申し訳ありません。
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これも野菜焼き。〝グリーンアスパラ〟。
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これも稀少部位。〝ちょうちん〟です。
鶏は、一日一個卵を産みます。このちょうちんは、殻と白身に分かれる前の黄身がまだ胎内にある状態で取り出したもの。つまり一羽に一個しか採れません。しかも雌だけ。ちょうちんを口に入れるとパチっと皮が破けてとろっと口の中に黄身が流れ出します。うっ、旨い。
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瀬尾の人気〝手羽先〟。ジューシーで熱々。焼き具合も最高
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いよいよ〆。S社長は、〝鶏スープの雑炊〟。
美味しそうなので写真を撮らせて頂きました。
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ワタシは、〝鶏そぼろ丼〟。
鶏の挽き肉にタレが十分沁みこんで・・・。美味しいったらありゃしません。
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デザートは、〝杏仁豆腐〟。
定番のクコの実が乗ってます。
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串を片手に酒を呑む。この光景は昔からあるのでしょうか
江戸料理研究家で著名な松下幸子先生(千葉大学名誉教授)の〝江戸料理事典〟によると〝料理物語〟(1643年)に〝串焼〟の記載があり、貝類の他に白鳥、雁等を串焼きにしたとあります。また、同じ頃〝雀焼〟や〝小鳥焼〟の記載もあります。江戸時代の初期から雀や野鳥の串焼きは食べられていました。
ところが意外なことに、江戸時代、鶏肉はあまり食べられていません。江戸時代の肉食と言えば、殆どが鳥肉でしたが、〝鶏〟は、古くから殺生禁止令の対象であり、時を告げる神聖な鳥とされ食用にされなかったようです。鶴、白鳥、雁、雉は食べられましたが、鶏は嫌う人が多かったようです。最も好まれていたのは鴨。蕎麦と鴨の相性は昔も今も変わりませんね。
それにしても、〝鳥善 瀬尾〟。高級感の漂う素敵なお店。焼き鳥に痺れてこの世界に飛び込んだ瀬尾青年も今では、押しも押されもしない超一流の重鎮・焼き鳥シェフ。
でも、焼き鳥界のニューリーダーの彼が毎日使用している〝タレ〟は修業店の〝鳥善〟が何十年も使っていたものを譲り受けました。そして少しずつ減った分にかえし等をつぎ足しながら大事に使っています。
だから、瀬尾の焼き鳥は、オーナーが40年以上前に感動した焼き鳥と同じ味です。瀬尾の店名に〝鳥善〟が付くのは、その伝統をしっかり受け継いでいるからです。
串を焼きながら彼の視線は何を見つめているのでしょうか
外人客比率の高い〝瀬尾〟はもしかしたら世界に飛び出すかも知れませんね。

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