ウメちゃん、唯一まともな事言うなあ。ウチは、ヘンなのばかりだと思ってたけど・・・。
思わずお客さんの笑顔がこぼれます。
そう言われたウメちゃんは、コンビネーションサラダのレタスをひたすら切っている若い料理人。
人の後ろを通る時は、大きな声で「通ります❢❢」って言うんだ![]()
ウメちゃんの所へ皿を運ぶ新人クンを先輩クンが怒った直後、浅草〝ヨシカミ〟の名物店長〝吾妻 弘章〟さんのフォローが入りました。
浅草の昭和26年創業・洋食屋〝ヨシカミ〟は、行列の絶えない有名店。吾妻店長は、18歳でヨシカミに入り2代目店長として活躍。2010年には、取締役に就任。その活躍ぶりは、昨年テレビ東京〝ソロモン流〟にも採り上げられたほどです。(2014年5月25日)
企業内教育には、〝OJT(On the job training)〟と〝OFF-JT(Off the job training)〟があると言われます。集合研修等のOFF-JTと違って職場教育のOJTで効果があるのは、その場で叱る、その場で褒めることです。後で新人クンを呼びつけてあの時ああだったと叱るのは効果半減。狭い厨房に9人のコックが入って仕事に専念しています。先輩クンの叱咤は当然。新人クンの行動は、事故に結び付きかねない危険な行為。その場で叱らなければ意味がありません。
厨房で親方が見習いを怒鳴っている姿を時々見かけます。時には、客が不快になるほどの感情的な叱責に遭遇することもあります。先輩クンは、それほど大きな声で怒ってはいません。感情的でもありません。しかも、怒った後で、先輩クンの方が気にして自分の叱責が正しかったのか他の先輩に聞いていたほどです。吾妻店長は、そのことに直ぐに気づきました。店長の目と耳は、お客さまに対してだけでなく、調理人たちの行動、会話にも向けられています。お客さまの不快感を払拭し、先輩クンを褒めました。〝吾妻マジック〟。ヨシカミがいつも混んでワサワサしてるのに、居心地がいいのは、吾妻店長の気配りです。
吾妻店長は、客席に立ち、レジに立ち、外で待つお客さまに声を掛けます。
お名前は
今ですと1時間位お待ちになります。1時半にお戻りください。
12時40分に到着したワタシに50分後の集合時間を告げます。
その間、近くの喫茶店でお茶して待つことが出来ます。そして、そのご案内時刻は、実に正確。1時40分ちょっと前に入店できました。
他のお客さんが、
○○ですけど、もう名前呼ばれましたか
いえ、今、1時半のお客さまをお呼びしてます。もう少しお待ちください。
うますぎて申訳ないス❢の看板。
今年64年目の老舗の味は、創業以来変わらないと言います。だけど、吾妻料理長は、お客さんに分からないように少しずつ味を変えています。だから若い人も大勢やって来ます。
グラスの赤ワインを注文。
つまみに、塩味の揚げパンが付いて来ます。人気の〝かつサンド〟の切り落としたパンの耳を揚げてます。
ヨシカミに来たら、〝ビーフシチュー〟を食べなさいと言われます。
このビーフシチューにヨシカミの美味しさの全てが凝縮されています。
とろけるように柔らかい牛バラ肉。洋食屋の旨さは、〝デミグラスソース〟に詰まっています。
〝ハンバーグステーキ〟。
フライパンで表面を焼かれたハンバーグは、オーブンで時間を掛けて加熱されます。表面は、カリカリ。中はしっかり火が入っており、しかもふっくらと柔らかい。添えられたポテサラの美味しさは格別です。確かに、申し訳ないほど美味しい。
これも名物〝オムライス〟。
オーダーが多く、厨房の真ん中でオムレツを約コックさんは、一瞬も休むことなフライパンを振ります。
ふっくらした玉子焼きの中から、美味しいチキンライスが現れます。
ヨシカミの近くにいろもの(漫才、漫談など)を中心とした「浅草フランス座演芸場東洋館」と建物を同じくする姉妹館が「浅草演芸ホール(落語中心の寄席)」があります。フランス座のエレベータボーイをしていたのが、〝ビートたけし〟。大衆娯楽のメッカ〝浅草六区〟は、大人の街です。