今日ご紹介する丼モノは〝牛丼〟。
何~んだ
と思われるかも知れませんが、これが大変な牛丼でして・・・。
〝松阪肉〟、〝松阪牛〟のブランドが中国・商標局から既に類似商標ありとの理由で三重県松阪市の登録申請を不条理にも却下したのは記憶に新しいと思います。
〝松阪肉(まつさかにく)〟が注目を浴びるようになったのは昭和10年の東京芝浦で開催された〝全国肉用畜産博覧会〟。それまで神戸牛や近江牛に独占されていた賞を初めて松阪肉が獲得したからです。昭和33年から松阪肉は東京に本格進出。親父は給料日になると新宿・二幸(現在の新宿アルタの場所にあった三越が経営する食品デパート)で松阪肉を買って来ました。月に一度のすき焼きです。
これはビールを飲ませて育てた牛の肉なんだぞ
いつも得意げに自慢しました。耳に🐙が出来ました。(笑)
その時食べた松阪肉と現在私たちが一般的に食べている松阪肉は違います。昔、東京人の衝撃となった松阪肉は、現在の〝松阪特産肉〟。その特産松阪肉の牛丼を食べに二子玉川の〝花冠 陽明庵〟に出掛けました。
二子玉川の駅から徒歩4分。マンションの1室、隠れ家レストランです。
花冠の店主〝松本 栄文〟さんは、色々な顔をもっていらっしゃる多才な方。〝日本食文化会議〟を主宰し、二子玉川と佐原で〝花冠〟を二店舗経営。ベストセラー作家、大学教授という顔もお持ちです。
飲食って儲からないわよ。魂を売れば別ですけど・・・。(笑)
京都弁の公家言葉を操る魅力的な方です。
松阪肉というのは年間7000頭近く出荷されます。
松阪肉としてのブランドを付けることが出来るのは生後12か月以内に松阪肉生産区域内に導入され松阪牛個体識別管理システムに登録された黒毛和牛の未経産雌牛です。ですから、松阪牛と言われる牛の殆どは元々全国から集められた黒毛和牛です。特に祖牛で一番多いのは宮崎牛です。
〝特産松阪牛〟は、昔から兵庫県の但馬牛とされ肥育期間は900日(普通の松阪肉より280日程度長い)以上と決められています。年間の特産松阪牛の出荷頭数は100頭程度。手間とコストがかかり過ぎます。和田金牧場の分も入れて特産は松阪肉出荷頭数全体の3%しかありません。
では、特産がどんなに美味しいかと言うと、脂の良質さです。甘味が圧倒的に違います。神戸牛の融点は25度程度ですが、特産は15度。手で触るだけで溶けます。これだけ良質の脂が出来るのは徹底した肥育管理。
そして、松本 栄文さんのもうひとつの顔は〝家畜商〟。100頭の特産のうち約半分の50頭程度を松本さんが取り扱っています。都内の超一流の料亭も松本さんから購入しています。だから松本さんは飲食で儲からなくても魂を売り渡さなくていい。(笑)
一丁上がり

こんなに美味しい牛丼、生まれて初めてです。つゆは薄めにして肉の味を邪魔していません。それでもつゆの甘さとは違う肉の脂の甘さがガンガン襲って来ます。
そして玉ねぎが特産肉をしっかりサポートしています。玉ねぎは好きですが、牛丼に玉ねぎはいらないと思ってました。しかし、この牛丼の玉ねぎは肉をしっかりサポートしています。肉を美味しく食べる為に存在すると確信。果たして、淡路島の玉ねぎでした。
ひと口ずつ、愛おしい気持ちで食べ尽くしました。
もうひとつの愉しみは〝宇治金時のかき氷〟。
美味しい餡子は、てっぺんと器の底に。
抹茶は、高級宇治の〝初昔〟。
気になるお値段は、
牛丼 2,000円
かき氷 1,200円
セット価格 3,000円
一頭3千万にも値が付く稀少な松阪特産肉。この値段。決して高くないと思います。
今年の牛丼は、この日が最後でした。悪しからず。