毎週日曜日の午前7時。日本テレビ系列の〝所さんの目がテン〟は科学・自由研究を中心とした生活情報教養番組で今年29年目となる人気長寿番組です。前回(3月25日)のテーマは、〝とんかつの科学〟。外食チェーン店の中で〝とんかつ店〟が最近、驚異的に増加しているそうです。何故、人はとんかつに魅了されるのか
その旨さの秘密に科学的に迫りました。そしてサクサクのとんかつとは真逆のしっとりした〝かつ丼〟の人気の秘密も・・・。
目黒駅前から権之助坂を下って徒歩6分。ランチタイム時には、行列必至の大人気店です。分厚いヒレかつもロースかつも1,050円。生野菜、御新香、味噌汁、御飯付で、キャベツもライスもおかわり自由。コスパが大変高い大宝です。
選んだのは、〝ロースかつ重〟(1,500円)。
出てきたのは2段重ねの丸重。
蓋を取ると、かつ丼(重)なのにご飯とかつ煮がセパレート。
玉ねぎのスライスと一緒に煮込んだ玉子とじかつ煮です。ご飯の上に、かつ煮を流し込みました。
分厚い豚ロースの断面は食欲をそそります。
とんかつの魅力は、肉の柔らかさ。豚肉を焼いたり、油で炒めたりする場合より圧倒的に肉そのものが柔らかいのです。それは、とんかつの〝ころものチカラ〟です。
とんかつの科学では、〝ころもは調理器具〟と断定します。ころもの役割はふたつ。
① 水分や旨味成分を閉じ込めたまま調理できる
② (肉の)温度の上がり過ぎを防ぐために肉が柔らかくなる
サクサク、ジューシーなとんかつはこのころもによって実現します。油で揚げる前のころもは水分が10%。この水分が高熱の油によって蒸発します。蒸発した後の空気の穴がサクサク感。空気をたっぷり吸いこんだころもはダウンコートと同じ。外部の高熱を遮断して肉自体の温度上昇をなだらかにしています。だから肉が硬くならずに柔らかい理由です。
そしてとんかつの美味しさの魅力のもうひとつは、ころも自体の美味しさです。とんかつのころものパン粉は、通常の食パンではありません。とんかつ専門店の多くは、専門業者によって製造されたパン粉を使います。普通の食パンはマーガリン、バター、脱脂粉乳などを入れます。とんかつ専門店のパン粉用の食パンに添加されるのは小麦粉以外は砂糖のみ。砂糖の配合比率によって揚げたとんかつの色が決まります。薄い色は、糖が少なく、濃い色は糖の配合率が高くなります。パン粉が高温の油できつね色になるのが〝メイラード反応〟です。高温の油の熱でパン粉のタンパク質と炭水化物がアミノ酸と糖に分解にされ化学物質が合成されます。この時、パン粉は何十種類の香ばしさや甘い香りを発生させるメイラード反応が起きます。とんかつのころもは実に美味しいのです。
そして〝かつ丼〟の美味しさは、サクサク、ジューシーなとんかつにはない別の美味しさがあります。とんかつのサクサク感は、ころもの中に残った空気の穴の効果。かつ丼のカツオだしがたっぷり入ったつゆがその空気の穴に入り込みます。サクサク感は失われても醤油やカツオだしの旨味がたっぷり沁み込みます。これがかつ丼の美味しさです。