羅漢のおにぎり茶漬け/中伊豆

器を生かすのは、料理だと思います。
中伊豆の〝羅漢(らかん)〟で、一日一組だけ伊豆の恵みのお料理でもてなす〝加藤 敦子〟さん。三島出身の彼女の運命を変えたのは、友人と旅したメキシコで陶芸家〝加藤 千博〟さんとの出会い。
料理の修業をしたことはないんです。私の師匠は、母です。母は、料理を創ることが大好きで、いつもお友だちを招いてご馳走することで喜んでいました。きっとそんな母の血が流れてるのでしょうね。
敦子さんの最愛のご主人は、6年前に50歳の若さでご逝去。築100年以上の古民家を生かした〝羅漢窯〟は、ご夫婦の住居であり、千博さんの工房。そして敦子さんの絶品料理の発表の場でした。今は、千博さんが遺した器を生かすための場。敦子さんは、〝盛り付けアドバイザー〟の講師としてもご活躍されています。
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玄関を入ると、古民家時代は土間だった部屋。アンティークな洋風の応接室になっています。重厚な大テーブルと6脚の椅子。
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片隅には、〝ジュークボックス〟。静かに音楽が流れます。
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入り口横に、〝薪ストーブ〟。この素敵空間で、お茶を飲みながらこれから始まるドラマの上演をドキドキで待ちます。
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敦子さんにご案内されて裏庭へ。そこにあるのは、巨大な樽。この味噌樽の中に入ってくださいと・・・。
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おいおい、凄いじゃないか。のっけからこんなのあり
食前の梅酒と大皿にタルト生地にトッピングのおつまみ。
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美しすぎる・・・。
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酒器も美しい。千博さんもここで敦子さんと一緒に出迎えてくださった気がします。
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パイ生地に詰められてるのは、カレークリーム、チーズクリーム、野菜サラダ。素敵なアペタイザーで胃の噴門が静かに押し広げられました。
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 樽生活が終わると、先ほどの洋室に戻ります。
一同、あっと息を飲みます。
目に飛び込んで来たのは、巨大〝俎板(まないた)〟。
第2幕は、衝撃的な〝赤〟で始まりました。
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 いつも乾杯は、ビールが定番ですが、今回は、特別にお酒の持ち込みをお許し頂きました。
最初は、ビール代わりの〝獺祭(だっさい)スパークリング50〟。
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麓の河津桜は、盛りを過ぎましたが、山奥の〝寒桜〟は、今が見ごろ。寒桜の太陽を中心に美しいお料理が星のように散りばめられています。まるで〝花の里〟。
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〝春キャベツとサーモンと人参のミルフィーユ〟。
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〝昆布〆豆腐に桜田麩(さくらでんぶ)〟。
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〝酢だいこんの色々巻き〟。
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〝クリームチーズの湯葉巻き〟
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 〝川海苔と芹(せり)〟。
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手前のお盆に並べるとこんな具合。
おい、華麗麺麭(かれーぱん)さん、私の返してくださいよ。
間違えて人の分まで自分の皿に盛り付けてしまいました。ごめんなさい。
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こちらにどうぞ。
洋間と隣室を仕切る引き戸が開けられると、隣室の囲炉裏端には、こんなセットが・・・。
第3幕。メイン料理のスタートです。
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第3幕のスタート酒は、〝雪の茅舎〟。製造番号入りの精米歩合3割5分。純米大吟醸の生原酒です。
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豊饒な伊豆の海の幸。
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〝鮪の大トロ〟。
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〝アオリイカ〟
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〝甘海老〟
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お刺身と言えば、〝山葵(わさび)〟。伊豆は、日本一の山葵の産地です。羅漢に来る前に、敦子さんに、近くの〝山葵田(わさびだ)〟を案内して頂きました。この辺りでは、山葵田を〝山葵沢〟と書いて〝わさびざ〟と呼ぶそうです。山葵沢は山の上まで続きます。写真の左側にパイプのように見えるのは、トロッコのモノレール。このトロッコに乗って山の上まで収穫に行きます。
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山葵栽培の絶対条件は、清流(水ワサビ)。豊富で汚れのない水が大量に必要。水温は、年間平均水温12度。厳冬の時期、水の中での摘み取り作業はも、大変厳しいそうです。この辺りの山葵農家の歴史は古く、200年以上続く農家も珍しくないとか・・・。世襲制で受け継がれています。
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 〝愛鷹牛(あしたかぎゅう)のサーロインステーキ〟。
ソースは、〝葱ソース〟。
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〝天吹〟の純米大吟醸中汲み。天吹酒造は、佐賀で300年以上続く蔵です。この純米大吟醸は、〝アベリア〟という花の〝花酵母〟で醸されました。リーダーのモクたんの持込み酒ですが、今宵〝花の宴〟にぴったりの酒。敦子さんのお料理を知り尽くしているリーダーならではの選定だと納得しました。
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〝蛤(はまぐり)の真薯(しんじょう)〟。
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4本目のお酒は、福島郡山の渡辺酒造本店〝養心王〟。純米大吟醸です。自家栽培の美山錦が酒米の美味しい端麗辛口です。これは、燗酒にして頂きました。
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〝桜鯛の塩焼き〟。
桜の咲く頃の〝真鯛〟を桜鯛と呼びます。丸々太った見事な鯛。敦子さんが、一人ひとりに取り分けてお皿に盛って頂きました。
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鯛は、脂が乗って美味しい。いい塩梅(あんばい)です。
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敦子さんが、囲炉裏で8個のおむすびを焼き始めました。4人だから一人2個。
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焼いてる間にひとりずつ〝お漬け物〟。
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ひとつは、海苔で巻いて・・・。
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 もうひとつは、ダシ汁に入れてお茶漬けに・・・。
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18時に始まった第1幕の時計は、もうすぐ22時を指します。人里離れた静寂な山中で、夢のひとときです。
〝羅漢(らかん)〟とは、施しや尊敬を受けるのに相応しい〝聖者〟を意味するサンスクリット語。もうこれ以上学ぶ必要のなくなった完成された僧です。
加藤 千博さんは、元々システム設計の仕事に従事。遠縁に人間国宝の陶芸家がいらしたことも縁で陶芸の世界に入ります。インカやマヤの古代文明に興味を持ち何かに導かれるようにメキシコへ。メキシコで陶芸指導の仕事に携わり、一生をこの地で暮らす決断をしようとした時に敦子さんと巡り合いました。以来二人三脚で歩んで来た道。千博さんが器を創り、敦子さんが、その器を生かす料理を創る。
こんな幸せな時間に突然終止符が打たれました。でも、千博さんは、たくさんの作品を遺しました。だから、今でもお2人は、二人三脚で作品を創り続けることが出来ます。
私は、この羅漢に1年で365組のお客さまにいらして頂きたいと思っています。
 
どうか、愛する人、愛するご家族と羅漢にいらしてください。おふたりがいつでも最高のおもてなしで皆さまをお迎え致します。
桜の羊羹と珈琲が花の里の締めくくりでした。

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