鳥料理それがしのそぼろ玉子掛けご飯/五反田(どんぶりスコア16/20★★★★)

 お笑いコンビ〝千鳥〟のCMが面白い。

この中でクセの強いボケ役の〝大悟〟が使う〝貴様〟という古語。ツッコミのノブが感じる違和感は視聴者も共感します。

友人が急遽上京するというので飲み会を開催することに・・・。そこで相棒と相談して、五反田の〝鳥料理それがし〟にしました。

〝貴様〟も〝それがし〟も最初は〝尊敬語〟や〝謙譲語〟の敬語。時代が進むと〝貴様〟や〝御前〟は相手を下に見る呼称となり、〝それがし〟は謙譲語としての一人称以外に自分の存在を曖昧や消し去る〝某(それがし)〟という意味も加わりました。
〝鶏料理それがし〟は、五反田駅下車国道一号線を横浜方面に徒歩5分。目黒川沿いにあります。ミート矢澤の並びです。
入口に吊るされた大きな〝杉玉〟。日本酒の拘りを示します。
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〝鳥料理それがし〟の店名は、名乗るほどのものではありませんではなく、お客様が主役でそこに控える一人称の〝ワタシ〟の意味だそうです。
五反田の〝酒場それがし〟から始まり、鳥料理それがし、恵比寿それがし、肉料理それがしがあります。それがしグループは多店舗展開の破竹の勢い。先月に、五反田に焼鳥専門店〝とり口〟もオープン。中目黒の名店〝鳥よし〟から〝西口和樹〟シェフを招聘。開店早々、滋賀の稀少ブランド〝淡海地鶏〟を扱うと話題になっています。
先ずは、〝七賢スパークリング〟で再会の乾杯。
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 何とインスタ映えする逸品。〝とりと季節の盛り合わせ〟です。
漬けとり、〆どり、レバーのたたき、春キャベツ湯葉巻き、胡桃の飴炊き、アスパラのお浸し、有機にんじんスフレ、白レバームース、ささみ粕漬けです。
これは美しいだけでなく美味しい。特に、〆どりは〆サバをイメージした鶏版。この味にハマります。
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〝せせりと春菊のサラダ〟。

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〝白レバームースと酒粕レーズンバター〟

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〝とりの漬け〟

ピリ辛の唐辛子だしに漬けられてます。
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お酒も寫樂、庭のうぐいす、白隠正宗、神亀・・・。

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〝とりの燻製盛り合わせ〟

薫香を愉しみながら最新燻製器の話へ。食べ物に関する話題は尽きません。
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〝とりそぼろ玉子掛けご飯〟(700円)がありました。

焼き鳥屋さんの〆にそぼろ丼や卵かけご飯(TKG)は珍しくないけど〝とりそぼろ玉子掛けご飯〟はあまりないわね
確かに・・・。
出てきたのがこれっ。この丼モノ。この濃厚な黄身の卵でないと作れないかも。濃厚すぎて箸でつまんでも簡単に黄身の膜が破れません。
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熱を加えた半熟玉子ではありません。生みたての生玉子なのに粘性が高いのです。この粘性が玉子掛けご飯だと主張しています。

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初訪問のそれがし・・・。このグループはお料理の美味しさで定評ですが、冒頭に書いた通り日本酒に拘った店です。それは日本酒のラインナップだけではなく様々な温度帯で提供し同じ酒が魅せる様々な顔の違いを呑兵衛たちに気づかせてくれます。

焼鳥はちまんのそぼろごはん/西早稲田(どんぶりスコア19/20★★★★★)

  最近、居酒屋等に行くと必ず〆のメニューに丼ものがあるかを最初にチェックして料理の構成を考えるようになりました。(笑)

焼鳥屋の〆は、親子丼、TKG(玉子かけごはん)、そぼろ丼が多いです。東京の焼鳥屋の中でもトップクラスのに西早稲の〝はちまん〟も〆にそぼろ丼があります。
焼鳥・はちまんは、〝一陽来復〟のお守りで有名な穴八幡神社のすぐそばにあります。
明治元年創業〝八幡鮨〟ビルの地階にあります。
※〝一陽来復〟とは、1年で一番日の短い冬至から段々日が長くなる翌年の節分までにお参りすると貰えるお守り。商売繁盛、金運上昇に効果覿面。
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八幡鮨はやきとりはちまんの安井章人店主のお父さんとお兄さんが経営しています。
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店内に飾っている明治元年の創業時代のはちまんの絵。大鳥居の横にあった〝だんご屋はちまん〟が前身です。初代と2代目がだんごを焼き、3代目~4代目が寿司を握り。5代目の安井さんがが焼鳥を焼いています。
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これが5代目の焼くこだわりの〝だんご〟です。
ナンコツ入りつくねを〝だんご〟と名付けて焼いているのは初代、2代目に対する尊敬なのでしょう。
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 焼鳥の美味しさは第一に〝焼きのワザ〟。一般的に紀州備長炭がいいとされていますが、その中でも特に良いモノを取り寄せています。そして炭が発する高熱の遠赤外線を巧みに操ります。殆どの時間を店主が自ら焼き台に立っています。新橋の名店鶏繁で修業。平成7年にはちまんをオープンさせてから23年焼き続けています。
 そして素材の良さ。全国に優れた地鶏は多くあります。美味しいと定評の大山鶏も使いますが、都内でも使える店が極めて少ない滋賀県〝淡海(たんかい)地鶏〟。この地鶏の美味しさを知ってしまうことは焼き鳥好きには不幸なこと。(笑)
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はちまんの魅力は日本酒。厳選された銘酒、限定酒を欠かしません。思わぬ感動の酒に出会うこともしばしば。冷酒でも燗酒でも希望通りに出してくれます。
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季節メニューも凄い。〝金時草のお浸し〟。紫蘇のだし汁です。

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もう筍。九州産の〝たけんこの串焼き〟。
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至高の焼鳥。

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そうして、ようやく待望の〆。

〝そぼろごはん(小)〟。
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鶏のジュースとタレの旨味がごはんまで沁み通っています。

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そぼろこばんと言うと、忘れられない思い出があります。

一歳違いの家内と結婚したのは、ワタシが新入社員で家内が大学4年生。単位習得に目途が立ち、卒業前の秋に神戸で同棲しました。ある日、残業で遅く帰ると、家内が食卓に着いて泣いています。新入社員で給料が少ないので安い食材しか買えません。一番安かった鶏の挽き肉を買ってきましたがどうやって調理したらいいのか分からない。デリッシュ・キッチンクラシルなどのレシピ動画がない時代。お腹は空くのにご飯が食べられないと悲しくなったそうです。
冷蔵庫を開けると玉子と絹サヤがありました。ワタシは鶏挽き肉をそぼろにして炒り卵と絹サヤの炒めモノで三色丼にしました。あの頃の純真な彼女。今・・・。

ソバリストランテ・ナールのそぼろ丼/銀座(どんぶりスコア18/20★★★★)

 お笑いタレント・ホンジャマカの〝石ちゃん〟こと石塚 英彦さんが〝メレンゲの気持ち〟(日本テレビ 毎週土曜日12:00-13:30)で開店間もない〝ソバリストランテ・ナール(Soba Ristorante na-ru)〟を訪れてから3年経ちました。(2014年5月3日)
 〝まいうー(美味い)〟の食レポは視聴者の好感を呼びます。石ちゃんの食レポは、常に作り手の気持ちに立ちます。ナールの〝イタリアンな蕎麦〟に衝撃を受け、まいうーを連発。当時食べたトマト風味の〝アマトリチャーナそば〟を大変気に入ってました。
 あれから、ナールのメニューの数はさらに増え、しかも内容も進化。久しぶりに訪問しました。
  丁度、店主の山崎祥平さんが蕎麦打ちの真っ最中。見事な水廻しです。
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ランチ・メニューはこの通り。
本日は、〝Cセット〟でごはんを〝そぼろ丼(山椒醤油味)〟にしました。

 

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先ずは、グラスビール。 他では、なかなか飲めない〝白穂乃香(しろほのか)〟。生きた酵母をそのまま残して最高の味。
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ドレッシング・オリーブオイルのサラダ。
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そして山椒醤油味の〝そぼろ丼〟。
このぴり辛のそぼろがバカ旨。無料の大盛りにすべきだったかなあとちょっと後悔。
甘過ぎず、それでしっかりした味付け。
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パスタ風の蕎麦は、ピッツァ・マルゲリータを彷彿させる三色の変わり蕎麦。
緑は、〝バジル〟の野菜パウダーを練り込んだ蕎麦パスタ。
赤は、〝赤ピーマン〟の野菜パウダーを練り込んだ蕎麦パスタ。
そして白は、〝パルメジャンレッジャーノ〟。
蕎麦は、オリーブオイルト塩で味付けしてあるのでそのままチーズを絡めて食べても美味しい。
温かいそばつゆも別途用意されているので上からぶっかけにしても良し。
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来月には開店4年目を迎えるナール。ますます目が離せないイタリアンな蕎麦屋です。

瀬尾の鶏そぼろ丼/麻布十番

日本のおっさんが大好きな〝焼き鳥〟。高架下の縄のれんを潜るとモクモク立ち上る煙幕。気の合った仲間とひざ突合せ、串は左、猪口は右。
そんな喧騒の中の焼き鳥をしょっちゅうパクついてます。が、麻布十番に大衆〝焼き鳥屋〟のイメージからほど遠い高級感たっぷりの素敵な〝焼き鳥レストラン〟があります。そして、この焼き鳥屋さん、とても人気が高く予約の困難な店です。大変、お世話になった仕入先会社のS社長さんが数か月前に予約。送別会をしてくださいました。
麻布十番の洒落た街。ビルの地階にある〝鳥善 瀬尾〟 。オーナーシェフの瀬尾博之さんは、1968年東京生まれの46歳。20歳代の時に食べた東京・勝どき〝鳥善〟の焼き鳥に感動して弟子入り。10年修業をして独立しました。現在は、麻布十番と、リニューアルした東京ステーションホテルに〝焼鳥 瀬尾〟の2店を経営しています。
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ゆったりとしたカウンター。すぐ斜め前の〝焼き場〟には、瀬尾さんが精悍な感じですくっと立っています。お弟子さんたちが親方のサポートですぐ横に控えています。控えめな店主も弟子たちも黙々と仕事を続けます。静かな店内にジャズのBGMが流れます。
やっぱこれでしょ。ファーストドリンクは、生ビール。
高級店も大衆店も・・・。
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突き出しの〝漬け物〟。
実にシンプルな〝糠漬け〟。
瀬尾が、焼き鳥で真剣勝負をしている予感。
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 緊張の中で出てきた〝鶏わさ〟。
普段も食べ慣れている鶏わさですが、いつもとどこか違う美味しさ。
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 出汁ジュレの掛った野菜サラダが置かれました。
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緊張で喉が渇いたせいもあり、あっという間にビールを飲み干し、次にウイスキー・ハイボール。
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 いよいよ一本目の焼き鳥が登場。
〝せせり〟です。ネック。鶏の首の剥き身。
ニワトリって首をくるくる動かすでしょ。ネックは、筋肉の発達した部分で、しかも一羽から採れるのはほんの少し。稀少部位です。塩で頂きました。
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好物の〝もも肉〟。しかも美味しいタレで・・・。
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〝つくね〟です。
ワタシ、焼き鳥のつくねが殊の外大好き。
瀬尾のつくね絶品です。軟骨が入って食感も楽しい。
大根おろしとウズラの卵に浸けて食べると一層美味しい。
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見てすぐ分かるように〝ペコロス(小タマネギ)焼き〟
焼き野菜は、とても美味しいです。特に、当店が使っているのは、〝ウバメガシ(姥目樫)の紀伊備長炭〟。備長炭の中でも希少な最高級品です。普通の樫の備長炭に比べてもギュッと圧縮された比重の高い炭。火力も非常に強く、ジューシーな美味しさを一瞬に封じ込めます。
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焼酎の水割りを頂きました。残念ながら雲海そば焼酎ではなかったな。
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美味しい〝血肝〟。鶏のレバーです。
焼き鳥の神髄は、血肝の旨さ。新鮮な血肝を手早く処理できるかによって旨さは決定的に違います。惜しいことに、お招きくださったS社長。ホルモンが全くダメで・・・。ホルモン好きのワタシの為にムリしてくださり、ホントに申し訳ありません。
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これも野菜焼き。〝グリーンアスパラ〟。
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これも稀少部位。〝ちょうちん〟です。
鶏は、一日一個卵を産みます。このちょうちんは、殻と白身に分かれる前の黄身がまだ胎内にある状態で取り出したもの。つまり一羽に一個しか採れません。しかも雌だけ。ちょうちんを口に入れるとパチっと皮が破けてとろっと口の中に黄身が流れ出します。うっ、旨い。
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瀬尾の人気〝手羽先〟。ジューシーで熱々。焼き具合も最高
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いよいよ〆。S社長は、〝鶏スープの雑炊〟。
美味しそうなので写真を撮らせて頂きました。
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ワタシは、〝鶏そぼろ丼〟。
鶏の挽き肉にタレが十分沁みこんで・・・。美味しいったらありゃしません。
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デザートは、〝杏仁豆腐〟。
定番のクコの実が乗ってます。
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串を片手に酒を呑む。この光景は昔からあるのでしょうか
江戸料理研究家で著名な松下幸子先生(千葉大学名誉教授)の〝江戸料理事典〟によると〝料理物語〟(1643年)に〝串焼〟の記載があり、貝類の他に白鳥、雁等を串焼きにしたとあります。また、同じ頃〝雀焼〟や〝小鳥焼〟の記載もあります。江戸時代の初期から雀や野鳥の串焼きは食べられていました。
ところが意外なことに、江戸時代、鶏肉はあまり食べられていません。江戸時代の肉食と言えば、殆どが鳥肉でしたが、〝鶏〟は、古くから殺生禁止令の対象であり、時を告げる神聖な鳥とされ食用にされなかったようです。鶴、白鳥、雁、雉は食べられましたが、鶏は嫌う人が多かったようです。最も好まれていたのは鴨。蕎麦と鴨の相性は昔も今も変わりませんね。
それにしても、〝鳥善 瀬尾〟。高級感の漂う素敵なお店。焼き鳥に痺れてこの世界に飛び込んだ瀬尾青年も今では、押しも押されもしない超一流の重鎮・焼き鳥シェフ。
でも、焼き鳥界のニューリーダーの彼が毎日使用している〝タレ〟は修業店の〝鳥善〟が何十年も使っていたものを譲り受けました。そして少しずつ減った分にかえし等をつぎ足しながら大事に使っています。
だから、瀬尾の焼き鳥は、オーナーが40年以上前に感動した焼き鳥と同じ味です。瀬尾の店名に〝鳥善〟が付くのは、その伝統をしっかり受け継いでいるからです。
串を焼きながら彼の視線は何を見つめているのでしょうか
外人客比率の高い〝瀬尾〟はもしかしたら世界に飛び出すかも知れませんね。